
5月26日 皆既月食スーパームーン
第4話(10話シリーズ)
月と桜と島ん婆と
大変じゃ!大変じゃ!!
今夜は、大ごとが起こるぞ!
この婆も、めったにお目にかからないような事がな!!
月の歴の15日じゃ!婆の誕生日でもあるぞ。
おっと、そんな事はどうでもよい。
超次元のパワーが来るぞ!宇宙の手品じゃ!
今夜は、特大満月で、どういう訳か、月が消えていなくなるんじゃ?!
しばらくたつとな、又月が、少しずつ現われ始めるとな?!
そのとき、月の命さまがなんと!おいでになるんじゃ!
美しい衣の腕の中には、光輝く小さな壺があってな。
それを見ると、島中のこれまた女の神たちがキャー、キャーと! 集まって来る。
それと同じくして島の男達・女達も桜の木の下に集まって来る。
それから氏神さまを招いて、田植えの準備のお祭りを始めるんじゃ!
みこしやすめの、大きな岩の上に、大きな盃を置く。
月の命さまが下さる壺の水をいただくんじゃ!
その中に籾を入れる。その水を田んぼに入れる。
あれあれ不思議じゃ!
島中の田んぼに、水が湧き出す!
月の命さまは,水の神でもある、穀物の神さまじゃからな!!
わしは何でもよく知っとるぞ!
それからわしの大好きな宴が始まる。
男も女もよく食べ、よく飲み、よく笑うんじゃ♡♡♡
美しい満月になると、その明かりで島人達は帰るんだ。
わしもそろそろ帰るとしよう。
一年でいちばん楽しく愉快な夜じゃった。
そうだ!そうだ! 忘れるとこじゃった。
くるりと向きを変えると、大きな桜の木にぺこりと、頭を下げる。
“ありがとーよー♡”おかげで神さまも島人もたのしくふれあえたよ♡
花神(かしん)(壱岐先人たちの命名の島桜)
なおみ蓮華